20230509


ほどけないように見えたの
赤い靴紐でどこへも歩いて行ける

彼に隙はない。固く結ばれたまま、どんどん進んでいく彼の背中をずっと追い続けていたら、ふわっと 花がひらくように笑っていた。
そうして、いつもの顔に戻っているなあと思った時には、またまっすぐ前を向いて、遠くに歩き出していた。
前とは違う方を向いた、靴紐の先っぽと一緒に。